弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、末尾に添えた書面記載のとおりであつて、これ等各趣意に対
し、次のとおり判断する。
 弁護人宮崎保興の控訴の趣意第一点について。
 原判決を見ると、原審が認定した罪となるべき事実は起訴状記載公訴事実と同一
である旨の記載があつて、起訴状によると、被告人は法定の除外事由がないのに、
昭和二十四年九月十五日頃より昭和二十五年十月中旬頃迄の間A外十二名を起訴状
記載の日時場所において、同記載のB外八名の求人者に売淫婦或は芸妓として紹介
し、よつて、右求人者等から紹介手数料として合計八万二千五百円を受領し、もつ
て、有料の職業紹介事業を行うと共に業として右A外十二名の就業に介入して利益
を得たというのであるから、原判決も亦右と同一の認定をしたものと認むべきであ
る。そして、原判決が右の事実に法律を適用し、該事実は職業安定法第三十二条第
一項本文、第六十四条第一号前段並びに労働基準法第六条、第百十八条にあたると
ころ右は一個の行為であつて数個の罪名に触れるものであるから、刑法第五十四条
第一項前段、第十条により、重い後者の罪の刑に従い、所定刑中懲役刑を選択して
被告人を懲役六月に処したことは、原判決の記載に徴して明らかである。
 思うに、右職業安定法違反及び労働基準法違反の罪はその所為が単に一回行われ
ただけであつても直ちに前記各法律中の各関係法条違反の罪を構成し、必ずしも、
かかる所為が数回に亘つて反覆累行されることを要しないことは勿論であるととも
に、かかる行為が継続的に反覆累行されても亦これ等各所為は包括して、それぞ
れ、右各法律に規定されている各関係法条違反の単一なる犯罪を構成するのに止ま
るものと解すべきである。けだし、右各法律中の各関係法条は法定の除外事由がな
いのにも拘らず、業として右各禁止規定に違反する行為を営んだものを処罰するた
めに、それぞれ設けられた規定であつて、右各法律にいわゆる事業及び業なる観念
は通常多数の同種の行為が反覆累行されることを当然の前提として成立するもので
あるからである。されば、原判示のような場合には個々の所為の数の如何に拘ら
ず、特定の業を目的とする犯人の意思活動は特段の事由がない限り、単一であると
認むべきであり、犯意が単一である以上、その所為も亦包括一罪として処断すべき
であるからこれを併合罪として処断すべきものでないことは理の当然であろう。と
ころで、原判決が原判示事実を一個の行為と認定したのであり、(記録に徴して
も、被告人の意思活動が複数であると認定すべき根拠はない。)従つてこれを併合
罪の関係に立つ十三個の行為として認定したのではないことは、原判決が引用する
起訴状に「以て有料の職業紹介事業を行うと共に業として右A外十二名の就業に介
入して利益を得たものである」と記載してあることと、原判決の法律の適用の部分
に、前記のとおり、「被告人の判示所為は(中略)一個の行為にして数個の罪名に
ふれるので、刑法第五十四条第一項前段第十条により、重い労働基準法違反罪の刑
により所定刑中懲役刑を選択し所定刑期範囲内において、被告人を懲役六月に処
し」とあるのによつ<要旨>て、容易にこれを了解することができよう。それ故、原
判決が一個の犯罪事実の内容をなす十三個の事実を認定するのに、原判決挙
示の各証拠を一括して標示していることは、まことに所論のとおりであるけれど
も、原判示事実が一個の犯罪事実である以上、その内容をなす十三回に亘る個々の
被告人の行為について、逐一これに該当する証拠を挙げて認定しなければならない
ものとはいい難いのみならず、原判示事実の内容をなす前記十三個の行為と、原判
決挙示の各証拠の関係について、判文と記録に現われている当該証拠とをそれぞ
れ、比較対照して見ると、どの証拠でどの部分を認定したかを合理的に推認しうる
のであるから、(原判決挙示の各証拠のうち互に矛盾するものがあるけれども、こ
れ等各証拠を綜合して原判示事実を認定して差支ないことは後記説明のとおりであ
る)原判決には何等所論の違法はなく、論旨は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 下村三郎 判事 高野重秋 判事 久永正勝)

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