弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
一 本件控訴をいずれも棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
       事実及び理由
第一 控訴の趣旨
一 原判決を取り消す。
二 被控訴人らは、美馬環境整備組合に対し、各自金一五億八六九四万円及びこれ
に対する平成八年四月二四日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年五分
の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
一 事案の概要は、次のとおり訂正、付加するほか、原判決の事実及び理由欄第二
に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決六頁二行目の「争いのない事実」の次に「及び証拠によって容易に認め
られる事実。証拠を付記していない事実は争いがない。」を加える。
2 同八頁一行目の「送付嘱託回答結果による。」を「乙一五の1ないし6、一六
の1ないし5、一七の1ないし6」に改める。
3 同二五頁一一行目の「衛生管組合」を「衛生管理組合」に改める。
4 同二七頁九行目の「四四三二万七五〇〇円」を「四四三三万七五〇〇円」に改
める。
5 当審における控訴人らの主張
 美馬環境整備組合は、本件ごみ処理施設の建設につき、予備発注メーカーとして
七社を選定し、各社から見積書を提出させた上、最終的に荏原製作所、川崎重工
業、三井造船及び神戸製鋼所の四社を指名業者に選定して指名競争入札に付し、そ
の結果、神戸製鋼所が落札しているところ、右四社の当初見積額と入札申出額を比
較すると、荏原製作所が見積額六一億円・申出額七二億円、川崎重工業が見積額六
三億一三九〇万円・申出額七三億円、三井造船が見積額六三億〇三六〇万円・申出
額七〇億円、神戸製鋼所が見積額六〇億七七〇〇万円・申出額六二億九八〇〇万円
であって、神戸製鋼所は見積額と申出額に大差はないが、他の三社は申出額が見積
額より一〇億円前後も高額である。この事実だけでも、右入札が談合によるもので
あることを推認するに十分であるのに、原判決は、この点に何ら触れることなく、
談合の事実は認められないとしているので、理由不備というべきである。
二 本件は、A及び控訴人らがB及び被控訴人らに対し前記第一の二の支払を求め
て提訴し(原審第三号事件)、これにC、D及びEの三名が共同訴訟参加して同様
の支払を求めた(同第八号事件)住民訴訟であるところ、原審が、控訴人F、同
G、同H及び右Cら三名の訴えをいずれも却下し、A及び控訴人Iの請求をいずれ
も棄却したのに
対し、控訴人らがB及び被控訴人らを相手に控訴したが、A及び右Cら三名は控訴
せず、なお、控訴人らは、B(原審係属中の平成九年一二月二五日に死亡)に対す
る控訴を取り下げたので、控訴をしなかった当事者及び控訴取下げの相手当事者の
扱いについて付言する。住民訴訟の判決の効力は、当事者となった住民のみなら
ず、当該地方公共団体の全住民に及ぶものというべきであり、本件のように複数の
住民が提起した住民訴訟は、民事訴訟法四〇条一項にいう「訴訟の目的が共同訴訟
人の全員について合一にのみ確定すべき場合」に該当し、いわゆる類似必要的共同
訴訟と解するのが相当であり、したがって、共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、
それにより原判決の確定が妨げられ、訴訟が全体として上訴審に移審し、上訴審の
判決の効力は上訴しなかった共同訴訟人にも及ぶというべきであるが、住民訴訟の
性質にかんがみると、自ら上訴をしなかった共同訴訟人をその意に反して上訴人の
地位に就かせる効力までが行政事件訴訟法七条、民事訴訟法四〇条一項によって生
ずると解するのは相当でなく、自ら上訴しなかった共同訴訟人は、上訴人にはなら
ないというべきであり、控訴の一部取下げがされた場合も同様に解するのが相当で
ある(最高裁平成九年四月二日大法廷判決・民集五一巻四号一六七三頁)から、A
及び右Cら三名並びにB(相続人)を控訴当事者として扱わずに審理し判決する。
第三 当裁判所の判断
一 当裁判所も、控訴人F、同G、同H及び前記Cら三名の訴えはいずれも不適法
であり、A及び控訴人Iの請求はいずれも理由がないものと判断する。そして、そ
の理由は、次のとおり訂正、付加するほか、原判決の事実及び理由欄第三の理由説
示と同じであるから、これを引用する。
1 原判決三四頁一一行目の「昭和六〇年」を「昭和六二年」に改める。
2 同五三頁三行目の「三ないし一三の1」を「三ないし七、八の1・2、九ない
し一二、一三の1」に改める。
3 同五五頁一一行目の「平成九年」を「平成七年」に改める。
4 同五九頁八行目の「指定業者」を「指名業者」に改める。
5 当審における控訴人らの主張について
 既に認定した本件請負契約に至る経緯(引用した原判決の説示)及び本件の証拠
関係を総合して考えると、控訴人らの主張する事情から直ちに同主張の談合があっ
たと推認するのは困難である。本件全証拠によっても、本件入札につき、指名業
者四社に被控訴人らが加わって談合し、あるいはその四社間で談合しそのことを被
控訴人らにおいて知っていたと断定することはできない。
二 よって、原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がない。
高松高等裁判所第二部
裁判長裁判官 山脇正道
裁判官 田中俊次
裁判官 村上亮二

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