弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は、控訴人の負担とする。
       事   実
 控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人が控訴人および被控訴人補助参加人
間の昭和三九年(不)第一〇号、同四〇年(不)第一号日本国有鉄道大分鉄道管理
局不当労働行為救済申立事件について、昭和四〇年一一月一日にした命令(第二九
号)中、国鉄労働組合の申立を認容した部分(主文第一項掲記の命令)を取り消
す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控
訴人および被控訴人補助参加人の各代理人は、主文第一項同旨の判決を求めた。
 当事者双方の主張および証拠の関係は、証拠として、被控訴人補助参加人におい
て、丙第六ないし第一一号証(丙第一〇、一一号証はいずれも写)を提出し、控訴
代理人において、丙第八号証の成立、丙第一〇、一一号証の原本の存在および成立
をいずれも認める、丙第六、七、九号証の成立は不知と述べたほかは、原判決の事
実摘示のとおりであるから、その記載を引用する(ただし、原判決七枚目末行およ
び同裏八行目「一諸」を「一緒」と、同九枚目裏五行目「ないようう」を「ないよ
うに」と同一五枚目六行目「二時ぐらい後」を「二時間ぐらい後」と、同二一枚目
表八行目「行為」を「行為者」と、同二五枚目表八行目「不当労働行為責任論」を
「不法行為責任論」と、同二八枚目裏六行目「陰悪な」を「険悪な」と、同三二枚
目裏一行目「降し」を「際し」とそれぞれ訂正し、同二八枚目裏一行目「り」を削
る。)。
       理   由
一 当裁判所も控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は、つぎに付
加訂正するほかは、原判決の理由中に説示するとおりであるから、その記載を引用
する。
(一) 原判決三九枚目表九行目「いずれも……」から同一一行目「ものとみな
す。」までを「被告補助参加人の主張するところであるが、被告はこれに反する主
張をしていないし、原告はこれを認めているところである。」と訂正する。
(二) 同四八枚目表九行目「しかしながら、……」から同四九枚目表一行目「…
…ならない。」までを「思うに、本件につき適用される労働組合法第七条にいうと
ころの使用者は、本件につき準用される同法第二七条との関連においてこれをみれ
ば、雇主である企業主体(本件においては、控訴人)を指すものと解するのが相当
である。しかしながら、だからといつてかかる意味における使用者本人またはその
代表者のした行為のみが不当労働行為となり、使用者はその結果についてだけ責任
を負えば足りると解すべきものではない。不当労働行為制度は団結権を侵害しまた
は侵害するおそれのある行為から、労働組合を守りその健全な発展を企図するもの
であつて、その行為責任は、刑事民事のそれとは異なり、労働組合法が定めた労働
法上の特殊の責任であるから、その成否を判断する基準は労働関係の特殊性に求め
なければならない。すなわち、これを不当労働行為の一類型たるいわゆる支配介入
についてみるに、労働組合関係において労働者および労働組合に対応する者は使用
者およびその利益を代表する者(労働組合法第二条第一号参照)であり、これらの
者の支配介人を禁止し、これを排除しなければ前叙不当労働行為制度の目的を達成
しえないとともに、反面使用者はこれらの者によつてなされた支配介入の効果を排
除しうる立場にあり、使用者にその排除を期待するのが労働組合の健全な発展を期
待するうえで効果的であり、かつ、かかる侵害によりいわば反射的に利益を受けて
いるといえる使用者にその侵害を排除せしめることが不当労働行為制度の趣旨に背
致するものでないというべきであるから、使用者は、その利益を代表する者がその
立場において行つた支配介入について責任を負い、その原状を回復する義務を負う
と解するのが相当である。その際支配介入の行為者が使用者のためにいわゆる代理
権を有していることを必要とするものではない。けだし、前叙のところから推論し
うるように支配介入のごとき不当労働行為については、使用者と行為者との間に取
引法の原理たる代理の概念を敢えて導入する必要なく、利益代表関係を認めるだけ
で足りるからである。本件についてこれをみるに、前記三助役が公共企業体等労働
関係法第四条第二項に定める告示により労働組合法第二条第一号に所定の使用者の
利益を代表する者に該当することは当事者間に争いのないところであり、前叙の事
実によれば、前記情勢下において行われた右三助役の本件行為は助役としての立場
においてした支配介入といいうるから、右は不当労働行為であり、使用者たる原告
は右行為につきその責に任じなければならないというべきである。なお、A助役に
ついては、Bの妻を子供のころから知つており、その両親とも古くから比較的懇親
な関係にあつたところから、平素よりBに親近感をもつていたことが前記行為に出
た動機となつていることは、右に認定したとおりであるが、そのなされた場所およ
び前叙のごとき本件の背景を考慮に入れるときは、いまだ右行為が助役としての立
場を離れ、私生活関係において行われたものとみることができないし、C助役の行
為はいずれも勤務場所を離れた飲食店において行われていることも、右に認定した
とおりであるが、右行為の内容および前叙のごとき本件の背景を考慮に入れるとき
は、右行為を助役としての立場で行つたものと目することの障害となるものではな
い。」と訂正する。
(三) 同四九枚目表九行目「思うに……」から同五〇枚目裏五行目「はできな
い。」までを「思うに、原告の大分鉄道管理局長が所論のごとき指示をしたこと
は、前認定のとおりであるが、このことは、たんに同局長ひいては原告が支配介入
行為の防止を意図していたことを示すにすぎないもので、三助役の行為を不当労働
行為と認定することの障害となるものではなく、かくして、三助役の行為が不当労
働行為と目される以上、原告はその責に任ずべきであつて、原告主張のような指示
の存在によつてその責を免れうるものでないと解するのが相当である。」と訂正す
る。
(四) 同五〇枚目裏九行目「しかしながら、……」から同五一枚目裏七行目「…
…できない。」までを「しかしながら、三助役の前記行為が私的な立場においてで
なく、助役としての立場において行われたものであること前叙のとおりであつて、
原告が所論のような指示をしたからといつて、それに反する三助役の行為が直ちに
職務外の私的生活関係において起つたものであるということはできない。」と訂正
する。
(五) 同五三枚目表一、二行目の全文を「本件救済命令は原告に対し所定の業務
命令を出すことを命じることによつて違法状態の原状回復を企図しているのであ
り、本件の場合その措置は相当にしてかつ適法といえるのであつて、三助役が直接
右命令に拘束されないからといつて、右命令の違法をきたすものではない。」と訂
正する。
二 そうすると、控訴人の請求を棄却した原判決は相当で、本件控訴は理由がない
から、これを棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を
適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 小川善吉 小林信次 川口富男)

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