弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人石丸勘三郎、同石丸九郎の上告趣意第一点第二点は違憲をいうが、実質は
事実誤認、単なる法令違反の主張に帰し、同第三点は事実誤認単なる法令違反、量
刑不当の主張を出でないものであつて以上いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当ら
ない(なお、原判決が約束手形を外国為替及び外国貿易管理法六条一項七号にいわ
ゆる「支払手段」の中に包含すべきものとした解釈及び同法二七条二項一号にいわ
ゆる非居住者云々の支払とは非居住者の支払にのみ限定すべき趣旨であるとした解
釈は、すべて、正当として是認する)、また記録を調べても本件につき同四一一条
一号ないし三号を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官斉藤朔郎の補足意見ある
外裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
 裁判官斎藤朔郎の補足意見は次のとおりである。
 原判決が約束手形を外国為替及び外国貿易管理法(以下、単に法という。)六条
一項七号にいわゆる「支払手段」の中に包含すべきものとした解釈を、正当として
是認することには、私は賛同できない。
 原判決は、先ず『いわゆる「支払指図」とは、指図人が被指図人に対して、金銭
を第三者である受取人に支払うべきことを指図することをいうものと解すべきとこ
ろ、約束手形は、為替手形におけると同様に、手形要件として「支払を受け又は之
を受くる者を指図する者の名称」を記載すべきものとされているばかりでなく(手
形法第一条第六号及び同法第七五条第五号参照)、』と判示している。右判示の支
払指図の定義そのものは誤つていないが、「支払を受け又は之を受くる者を指図す
る者の名称」の記載をもつて支払指図にあたると解している点は全く誤解である。
それは指図文句であつて、支払指図ではない。支払指図は「……へこの為替手形と
引換えにお支払い下さい」という記載がこれにあたる。かような支払指図は約束手
形になく、約束手形にあるものは「……へこの約束手形と引換えにお支払い致しま
す」という支払約束文句である。
 次ぎに、原判決は『約束手形は、為替手形と同様、いわゆる指図証券であること
が明らかであり、従つていわゆる支払指図に当るものと解すべきであるから、約束
手形は外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第七号にいわゆる「支払手段」に
当るものというべきである(東京高等裁判所昭和三五年(う)第一九一七号、同年
一二月二一日同裁判所第九刑事部判決、高等裁判所判例集第一三巻第九号第六八六
頁以下参照)』と判示している。約束手形が指図証券であることは問題がない。し
かし、前述のように、約束手形には支払指図はない。しかるに、法六条一項七号は、
「支払手段」を定義して、同号に列記せられているもの以外は、支払指図たる支払
手段をいうとしているのであるから、約束手形はそれに包含せられない。このこと
は同号の列記中に「小切手、為替手形」をあげて、約束手形をことさら除外してい
ることからも明白であろう。要するに、原判決は「指図文句」(orderkla
usel)と「支払指図」(Zahlungsanweisung)とを混同した
誤解にもとずくものである。この点に関する手形法の理解は、第一審判決の判示の
方が正しい。しかし、法二七条一項二号、三号の禁止している支払は、いわゆる支
払手段による支払に限定せられてはおらず、それ以外の方法による支払をも包含す
る趣旨と解すべきであるから、原判決の結論を結局において支持することには、私
も反対でない。
  昭和三七年一一月一五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    斎   藤   朔   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛