弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、請求に関する異議の訴についてなされた判決部分を除き、そ
の余の部分を破棄する。
     上告人らの本件附帯控訴を棄却する。
     その余の本件上告を棄却する。
     訴訟の総費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人村林隆一、同岡時寿、同今中利昭の上告理由一、について。
 本件和解調書第二項をいわゆる失権約款と解すべきものとする所論指摘の原判決
の判断は、その確定した事実関係から、正当として是認することができる。原判決
に所論の違法はなく、引用の判例は本件に適切でない。論旨は、独自の見解に立つ
て、正当な原判決を非難するに帰し、採ることができない。
 同二、について。
 本件和解調書第二項の失権約款によつて上告人らと被上告人との間に生じた賃貸
借終了の効果を消滅させる旨の合意が上告人らと被上告人との間に成立したとする
原判決の認定は、その挙示する証拠関係、事実関係から、是認できるし、右合意を
有効とする原判決の判断説示は正当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は、
独自の見解に立つて、適法な原審の事実認定、それに基づく正当な判断を非難する
に帰し、採ることができない。
 同三、について。
 民訴法五四五条の請求に関する異議の訴と、同法五四六条の執行文付与に対する
異議の訴とは、目的を異にする別個の訴と解すべきものである。したがつて、本件
のごとく、上告人らが第一次請求として執行文付与に対する異議を訴求し、予備的
請求として請求に関する異議を訴求し、第一審判決において、第一次請求が棄却さ
れ、予備的請求が認容された結果、被上告人が第一審判決の敗訴部分について控訴
した場合には、上告人らは棄却された第一次請求につき附帯控訴する利益を有する
ものと解すべきである。しからば、右と見解を異にして、執行文付与に対する異議
は請求に関する異議の一態様と解すべきであるから、第一審が排斥した上告人らの
執行文付与に対する異議も上告人らの附帯控訴をまつまでもなく審判の対象にでき
る筋合であつて、第一審で請求に関する異議が認容されて勝訴した上告人らにとつ
て右執行文付与に対する異議を主張して附帯控訴する利益はないとし、上告人らの
本件附帯控訴を却下し、かつ、執行文付与に対する異議について請求棄却の判決を
した原判決は、右二つの訴の性質並びに本件附帯控訴の利益についての法律の解釈
適用を誤つた違法があり、論旨はこの点において理由があるものといわなければな
らない。したがつて、原判決中、請求に関する異議の訴についてなされた判決部分
を除くその余の部分は破棄すべきものである。そして、右の部分については、原審
の確定した事実により自判をするに熟すると認められる。ところで、上告人らの本
件第一次請求である執行文付与に対する異議の理由とするところは、本件和解調書
には賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除が定められており、これは本件執行文
付与の条件にあたると解すべきものであるところ、その解除がなされておらず、し
たがつて執行文付与の条件が成就していないのに本件執行文が付与されたものであ
るから違法であるというにあることが明らかである。しかし、和解調書において賃
料を延滞したときは賃貸借契約を解除することができる旨の条項が定められた場合
には、賃料不払による解除の事実は、民訴法五一八条二項にいう「他ノ条件」にあ
たらず、賃料不払を理由とする契約解除の事実を争つて和解調書に基づく執行力の
排除を求めるには、請求に関する異議の訴によるべきであつて、執行文付与に対す
る異議の訴によるべきでないことは当裁判所の判例とするところである(昭和三七
年(オ)第五五〇号、同四一年一二月一五日第一小法廷判決、民集第二〇巻第一〇
号二〇八九頁参照)。したがつて、上告人らの本件第一次請求である執行文付与に
対する異議は、主張自体理由がなく、結局、右請求を棄却した第一審判決は正当で
あるから、上告人らの本件附帯控訴は棄却すべきものである。
 なお、上告人らのその余の本件上告は、いずれも理由がなく、棄却すべきもので
ある。
 よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条、九三条に従い、
裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    飯   村   義   美

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